2013.06.14 ヴェネツィア二日目。
朝一向かったのは、ヴェネツィアの玄関口サンタ・ルチア駅(Staz.F.S.Venezia A.Lucia)とローマ広場(Piazzale Roma)を結ぶ、カナルグランデに架かるコスティトゥツィオーネ橋(Ponte Costituzionale)。スペイン出身の建築家・構造家のサンティエゴ・カラトラヴァ設計によるもので、通称カラトラヴァ橋と言われている。脊椎動物の背骨のような合理的で美しい構造が露わになったこの橋は2008年に竣工した新しい名所の一つ。
どうも賛否両論あるようだけれど、朝早くから人通りも多く、意匠の美しさに興味を示す人も多いように見受けられた。
橋を渡り向かった先は、ヴェネツィア建築大学の正門(IUAV’s Main Gate)。イタリア最初の建築専門の大学として設立され、設計に特化したカリキュラムをもつ。この正門はカルロ・スカルパ設計による。因に安藤忠雄氏もここでレクチャーをした事がある。
生徒達はこんな感じで普通にここを通って通学してくる。
大学の正門を見学してからの運河と橋と広場を巡る。
どこを見ても絵になるヴェネツィア。
車の通行が全くないことから、新しい建築を建てる事が根本的に難しいため、
中世の頃の雰囲気がそのまま色濃く残る。
歩いているうちに、アカデミア美術館(Galleria della’ Accademia)到着。
内部のリノベーションをスカルパが設計している。
とはいえ、どの部分をスカルパがデザインしたのか、いまいちはっきりと分からなかったのが残念。もう少し事前に調べておけばよかった。。。
ちょこっと寄り道して、ヴェネツィア大学法学部の入口。これも入口部分だけスカルパの設計によるリノベーション。
そろそろお昼の時間ということで、フィレンツェの友人から超オススメされた、トラットリア “アラ・ヴェドヴァ”( “Alla Vedova”)へ。
写真はスカンピエビのパスタとイカスミパスタ。久しぶりにこんな美味しいパスタと出会いました。他に頼んだ揚げ物やオードブルなどのアラカルトメニューのどれも美味しくいただきました。やっぱり地元を良く知る人の情報は素晴らしい。
腹ごしらえの後は、さわやかにゴンドラで移動。
陽気なオジさんが、鼻歌を歌いながらゆっくりのんびり、櫂を漕いで進んで行く。
着いた先に、終わりかけの市場が!
ほとんどのお店が撤収した後だったけれど、数カ所残っていたお店を物色。
こういうヴァナキュラーな空間や雰囲気は、実際に現地に行かないと味わえない醍醐味の一つ。
橋をいくつも渡り歩き、有名なサン・マルコ広場(Piazzale San Marco)へ
ここの目的地は、広場に面してある小さなミュージアム、オリベッティ・ショールーム(Olivetti Showroom)。
タイプライターで有名なオリベッティ社のショールームだったが、今はミュージアムとして公開している。ここもスカルパ代表作の一つ。
スカルパならではのディテールたち。
小さい空間ながら、一通り見学するのに1時間ほどをかけ、ショールームを後にした。
サン・マルコ広場から徒歩5分ほどの所に、クエリーニ・スタンパーリア財団(Querini Stampalia Foundation)はある。
美術館、図書館、中庭を包括する建築で、カルロ・スカルパ設計による。
運河が建築内部まで引込まれ、プライベートな船着き場として利用されていた。
ディテールの一つ一つに思考の痕跡が見られ、デザインの奥深さにどっぷり浸ってします。
日暮れ前、ヴェネツィアビエンナーレ会場のジャルディー二(Giardini Pubblici)へと急いだ。
1895年から奇数年の年に行われる現代美術の国際展覧会なのだけれども、結果的に間に合わなかった。入場ゲートに到着した時は閉園5分前で、受付の方から「今から入っても見る時間はないよ」って言われてしまった。
しぶしぶ、案内板だけ撮影。
アアルトやスカルパ、スヴェレフェーンなどが手掛けたパヴィリオンを見る事は叶わなかったが、ともあれ、あらゆる可能性を突き詰め、機能と意匠を極めたスカルパ建築を巡り、非常に学ぶことが多い一日だった。
ワインをすすりながら、ヴェネツィアの海に沈む夕日を眺め、慌ただしかった一日を振り返っていた。