008 インド建築の旅(5)

AM 10:00 アーメダバード駅に到着。人口12億人の国だけあって、人で溢れている。

0023-1 アーメダバード駅

だいたい前日に持参したタブレット端末のiPadでトリップアドバイザーやホステルワールドなどのサイトを見て宿を予約をするようになった。宿の地図をスクリーンショットで保存しておけば、インターネットに接続できなくてもどこでも見る事ができて、とても便利。でもこんな駅前でiPadを出そうものなら、ワーっと人が集まってくる。

「どこ行くんだい。俺のオートリキシャに乗っていけよ」

「どこでもいくぜ。俺のに乗ってきな」あっちからもこっちからも声がかかる。

このような状況に対してこれまでの旅路から学んだことがあった。それは向こうから声をかけてきた人は信じないということ。ほとんどがだまされるか法外な金額を要求される。なので気の毒だが、この人たちは相手にしない。しかし今回は状況が違った。

「なぜ乗らないんだ。行きたいところに連れてってやるって言ってるだろ。ほら来いよ」

「乗らないから諦めてくれよ」

「心配するな。大丈夫だ。あそこのオートリキシャが俺のだ。来いよ。」

一人の男がかなりしつこい。仕方なく逃げるように早足で信用出来そうな運転手を探す。

それでもついてくる。

「いいかげん乗れよ。おい」

終いには怒りだす。ちょっとやばくないか。これ。

優しそうな運転手を見つけた。こちらから声をかける。

「この宿まで行ってほしいんだ。わかる?」

「ああ、乗るか?」

「よし、じゃあ行こう」

私たちがオートリキシャに乗り込むと、ついてきた男も一緒に乗り込もうとする。

そして違う場所に行くように運転手に言っている。

「おいおい何言ってるんだ。降りてくれ」

「いいから俺も乗せろ」

どこまでも付いてくる気のようだ。

「この男が乗るなら、私たちは降りるぞ。いいか?」運転手に聞く。するとあわてて運転手が男に言った。

「あんた降りてくれ。この客を乗せて行くから」

それでも乗り込んで来ようとする。

「降りてくれ!邪魔するな!」

運転手が大きな声で言い放つ。どうやら運転手も普通じゃない事を察知したようだ。

乗り込んで来ようとする男を振り払うようにオートリキシャが発進する。

一瞬よろけた男は、すぐさま後ろに並んでいる違うオートリキシャに飛び乗り追いかけてきた。

運転手は男を振り切ろうと、車やリキシャ、人や牛などでごったがえす道を必死にすり抜けていく。なんともすばらしいドライブテクニックだ。そこは交通ルールが無いに等しいインド。手が汗ばむカーチェイスにアドリナレンがほとばしる。

なんだこれは。。。映画「トランスポーター」のジェイソン・ステイサムが頭を過る。

ほどなく、男を撒くことに成功。運転手もほっとしているよう。よかった。

「ありがとう」

「変な奴には気をつけや!」運転手はいい人だった。

数分すると宿に到着。一息ついてから街へ。

0023-2 アーメダバード

目的地となる建築について、日本で住所は調べてある。住所と地図を頼りに、道行く人に幾度となく行き方を聞きながら、その建築を探す。そして今日も一つ目を見つけた。

コルビュジェ設計、繊維業会館 1956年竣工。

0024-1 繊維業会館

だが入れない。

門が閉まっている。無情にも間に合わなかったのだ。

開館時間は13:00まで。着いたのが13:15。そして今日は土曜日。

次に開くのは二日後の月曜日だ。

 

門の横の警備員がいる。

「おーい、建物を見るだけだから入れてくれない?」

「今日はもう時間外だ。二日後の月曜またおいで」

「それでは間に合わない。もうアーメダバードにいないんだ。少し建築をみるだけだから」

「だめだ」

「頼むよ」

「無理だ」

「じゃあ責任者と話をさせてくれないか?」

「んん」

「見るだけだからいいかって聞いてみてよ」

「仕方ないな。ちょっと待ってろよ」

しばらく門の外で待っていると、

「よかったな、入れよ。スロープを上がって右側の部屋に責任者がいるから行きな」

門を開けてくれた。

「おお、ありがとう」

言ってみるもんだな。

言われた通りスロープを上がって右側の部屋をノック。

「あなたたちは建築を見に来たのですか?」

「そうです。見るだけでいいので」

「わかりました。いいでしょう。15分だけにしてください。撮影は構いません。ただ見学した後、いくらか寄付をするか、ここでパンフレットやポストカードなどを買ってもらいたい。強制はしませんが・・・。」

そうきたか。

「わかりました。ありがとうございます。見学しながら考えます」

ということで

0024-2 繊維業会館

コルビュジェが提唱した ”ドミノシステム” による軽やかな3層構造に、ブリーズソレイユが繊細な陰影を持たらしている。”Dom-ino”はラテン語 “Dom-ino” 家の意 “Domus” と革新性の意 “Innovatio” を掛け合わせたコルビュジェの造語であり、それまで組積造の歴史を歩んできたヨーロッパにおいて、鉄筋コンクリートの床、柱、階段からなる構造のこと。これにより平面計画はより大きな自由を獲得した。

0024-3 繊維業会館

0024-4 繊維業会館

見学後、最初にあった寄付か購入する話、コルビュジェのパンフレットを購入し、ここを後にした。

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