015 インド建築の旅(11)

2013年4月30日 PM 22:45 予定より1時間ばかり遅れたが、アグラに到着。

関西国際空港を出発したのが、4月23日だったので1週間が過ぎたことになる。

線路にゴミがたくさん落ちているように見えるが、ゴミだけならば全然問題ない。写真は載せられないが、列車がすべて垂れ流し式の便所のため、線路の至る所に汚物が形そのままに転がっている。そのため、駅は大体どこに行っても公衆便所と同じ異臭がする。衛生状態が改善されれば、インドの魅力は飛躍的に増すだろうと思うこの頃だった。

一昨日ネットで予約した宿「Aman Homestay」は駅から遠かった。車で迎えにきてもらえる事になっていたが、列車がずいぶんと遅れたこともあって、迎えの車は見当たらなかった。この時間になるとタクシーはいなくなり、まともなオートリキシャを探すのも難しい。とはいえ他に選択肢も無く、駅前に集まるオートリキシャ達の中から信用できそうな人を探す。

「Aman Homestayを知ってるか?」一人に声をかける。

「おお、知ってるぞ」

すると

「俺も知ってるぞ、乗ってけよ」

「おいらも知ってるぜ、200Rsでいいぞ」

「こっちに乗れよ!190Rsでいいぞ」

「おい、180Rsにしてやるよ!」

何かをするたびに通る道、必ずあちこちから人が群がってくる。この群がってくる人たちを相手にしてはいけない。と同時に群がる人たちが提示する金額を聞き、頭の中で相場であろう金額を推測する。この感じならだいたい50〜60Rsだろうか。でも時間も時間だからもう少し高くても仕方ない。時間も時間でこちらも疲れている。

このごった返す状況をなんとなく避けている、人相のよさそうな人を探してこっちからアタックする。

「70RsでAmanHomestayに行きたいんだけど、どう?」

「それじゃ安すぎるよ、他を当たってくれ」

そっけない返事が返ってくる。

いい感触だ。

「じゃあいくらならいいんだい?」

「120Rs」

「それじゃ高い。もう少しまけてくれよ」

「じゃあ100Rsだ」

「んん、高いな。。80Rsなら」

嫌そうな顔をされた。

すると男が一人が寄ってきて、交渉中のリキシャと話をしている。

運転手と親しそうだ。

そしてその男が

「俺と一緒に乗るか?それなら80Rsでいいぞ」

「なぜ一緒に乗るんだ?」

「同じ方向にいくからだよ、俺はその運転手とは親戚なんだ」

・・・本当なのかは疑わしい所だが、他に良さそうな人も見当たらない。

ということで

「Done , Let’s go」

乗る事にした。

街灯もほとんどなく、暗がりが続く道路を運転手とその親戚、私達二人の4人を乗せたオートリキシャが走っていく。プルップルッと止まりそうなエンジン音と、前に座る二人の話し声だけが響いていた。しばらくすると、とある家の前でリキシャが止まる。

そして親戚だという男は

「じゃあな!」

と気さくな笑顔を見せて降りていった。

どうも親戚だというのは本当のようだ。

案の定、運転手は “Aman Homestay” がどこにあるのか知らず、とりあえず、住所の辺りについてから、その辺にたむろする若者などに道を聞いて廻る。インドでは真面目な人でも、仕事を受ける時はかなり適当だ。場所を知らなくても、知っていると言い切る。でも乗るリキシャを間違わなければ、一応、目的地につくまで、一生懸命一緒になって探してくれる。今回はリキシャ選びを間違わなかったようだ。

ずいぶんと時間はかかったが、最後は宿の前までしっかり私達を届けてくれた。「タクシーに乗れば目的地に着く」日本では当たり前のことだが、ここではなかなか当たり前がすんなりいかないものだ。

宿に着いた時、時刻はすでに日をまたいでいた。

宿のオーナーは笑顔がかわいらしい、マダム。これだけ遅かったのに、笑顔で出迎えてくれた。

やさしい笑顔を見て、張っていた気持ちが緩んでいくのが分かる。

「ふうぅ〜」

長い一日だったが、ようやくアグラに着いた。

そう、アグラはあのタージマハルがある町。

対面するその時が近づいていた。

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