013 インド建築の旅(9)

ジャイプルはピンクシティと呼ばれている。街並を彩る建物の多くが褐色のようなピンク色をしていることが所以となっている。ムガール帝国のマハラジャ・マン・スィン1世が建設したこのアンベール城も例外ではない。

008-03 アンベール城01

城は城でも建設時は城塞として機能していたそうで、敵が容易に侵入できないよう山の頂上から斜面にかけて全体を見下ろす様に存在している。ということは、城を拝むためには容易ではない険しい道を登って行かねばならない。荷物を持っての連続する登りはなかなか堪える。香川県の金比羅山の785段の階段を思い出すが、こちらの方が大変だろうか?

やっとのことで城の入り口に辿り着く。

008-03 アンベール城02

ここで守衛室で荷物を預かってもらうよう、無理矢理お願いしてカメラだけを持って城へ潜入。よく見るとあちらこちらに野猿。とはいえ、猿、牛、豚、鶏、鼠などの動物は普通の町中でも野生化してるので特に驚くこともなくなった。日本で野良犬や野良猫以上にこれらの野良動物が蔓延しているのがインドの現状。ただ噛まれると狂犬病に感染する恐れがあるので、野良動物を見かけると用心はしていた。

008-03 アンベール城03

入り口から歩き進め、しばらくするとガネーシャ門に到着。縁起の良い門だけにお目にかかりたかった門。

008-03 アンベール城03 ガネーシャ門

ガネーシャ門をくぐるとそこはオアシスのよう。植栽が茂り、マイナスイオンが漂うがごとく外界の過酷さを忘れさせてくれる空間が広がる。奥に見えるのが勝利の間 ジャイ・マンデル。

008-03 アンベール城03

008-03 アンベール城04

ジャイ・マンデルに踏み入れると、まるで宝石箱の中のように煌びやかそのもの。壁天井一面に宝石やガラス細工が施され、まばゆい光を反射していた。この一角だけ、妙に警備員が多いのにも納得できる。当時のマハラジャの権力がいかに突出していたか、想像に難くない。

うっとりと空間に浸り溶け込んでいると、何やら男性二人が近くに寄ってくる。

「Picture , O.K.?」デジカメを持っているのがわかる。

「Sure.」と応えた。

するとカメラを渡されるのかと思いきや

そっちに立ってくれと手でジェスチャーされた。

言われたままにそこに立つと

「Hi~!!」

カシャ!!

と写真を取られた。

そして

「Thank you!」

と握手を求められ、笑顔で歩いて去ってゆく。

芸能人にでもなったような変な気分だが、これが初めてではなかった。

インドに来てから、何度も写真を撮ってもいいか聞かれたし、

逆に自分たちだけを私のカメラで撮ってほしいと言われたこともあった。

後で写真のデータを欲しいというわけでもなく、ただカメラに写真として納めてほしいという。不思議だ。

なぜ私を撮りたいのか。なぜ私のカメラで撮ってもらいたいのか。

この不思議の答えは早い夕食を求めて街を彷徨う中で解決する。

アンベール城をひととおり満喫したところで、次の街へ移動する列車の時刻が近づいてきた。お腹を満たしてから乗車したいところ。

昨日ネットで調べていた、ジャイプルで有名らしい「Niros」という店を探すことにした。

でも、いまいち場所が分からない 。アンベール城から街中へ戻るために乗ったバスの車中、とりあえず隣にいた男性に「Niros」を知っているか聞いてみた。とはいえお店の名前だけでは、なかなか分かる人もいないはず。残念ながら隣の男性は知らなかった。

すると廻りにいた人たちも集まってきて、どこのことかとワイワイしだす。インド人は好奇心旺盛のようだ。その中の一人の女性が、「Niros」を知っているという。しかも行く方向が同じだから、ついでに店の前まで案内してくれるらしい。

女性と店から一番近いというバス停で降り、一緒に歩き出だした。その道中、外国に興味があるようで、インドやその他の外国について話は盛り上がった。少し仲良くなったので、先ほどの写真の不思議の一件について聞いてみた。

すると、外国人に自分たちの地元に来てもらったことに対しての嬉しさの表現 だそう。歓迎されている証だとか。なるほど。いろいろな考え方があるものだ。やはり世界は広い。

そうこうするうちに、

「ここよ」

と店の前に着いてしまった。随分と歩いたのだろうが、話し込んでいたため時間がよくわからない。でも確かに「Niros」だ。やはり有名店らしい。

女性に御礼を伝え、一緒に写真を一枚撮ってから別れた。

008-05 Niros

Nirosの料理はとても美味しかった。

このような有名店だと必ず入口のドアマンがいる。階級社会が根付くインドでは、普通の人はこの手の店には入店すら許されない。そのため、中で食事をしている人は明らかに富裕層だと分かる。この現実に違和感は感じるものの、何か出来る訳でもなく、ただ己の無力さを思い知る。

何はともあれ、味は間違いないお店。正にインドのカレーを味わえる。ジャイプルに来る事があれば、是非来店を薦められる店だった。

008-06 マトンマサラ

写真はマトンマサラとロティ。

食事後、行列が出来ていたヨーグルトラッシーのお店に立ち寄り、ラッシー片手に駅へと急いだのだった。

 

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