2013.06.28 バーゼル二日目は快晴。
晴れている日に行っておきたい、隣国ドイツの町ヴィトラ(Vitra)へ。
バーゼル中央駅(Basel SBB)から、8番トラムに乗りバーゼル・クララプラッツ (Basel Claraplatz)駅へ行き、55番バスに乗り換えてヴァイル・アム・ライン・ヴィトラ( Weil am Rhein, Vitra)駅まで、待ち時間含めおおよそ1時間。
家具会社ヴィトラの工場があり、世界中のスター建築家が手掛けた建築物が広大な敷地内にいくつも建ち並ぶ、聞くだけでも興味をそそるヴィトラキャンパスと呼ばれる場所。
バス停を降りたら、目の前に建築物群が見える。
あちこちに見える建築物の中、まずフランク・O・ゲーリー(Frank Owen Gehry)設計のヴィトラデザインミュージアム(Vitra Design Museum)。
これまた、たまたまルイス・カーン展を催していてラッキーだった。
当然内部を見学。
受付でチケットを購入する際、ヴィトラキャンパス全体をガイドしてくれるツアーがあることがわかって、もちろん申し込み。一般扱いでは入れないところも案内してくれる。
12:00にこのヴィトラデザインミュージアム前に集合してスタートらしい。
それまでヴィトラデザインミュージアムとカーン展を見る事にした。
展示は建築の竣工写真はもちろん、スケッチやドローイング、模型などを用いて設計プロセスを展示することに成功していた。ヴォリュームもあって、たっぷり2時間楽しめた。
そして12:00になって、集合場所へ。
10人くらい集まっていた。
ガイドから順に自己紹介があって、各国から集まった参加者のほとんどがデザイン系の職業で、やっぱりここがデザインの聖地なんだなと感じる。
ガイドに連れられ、最初の建築はジャン・プルーヴェ(Jean Prouve)設計のガソリンスタンド(Petrol Station)。
1950年代に建てられたものをここに移築した。奇麗に保存されている。
鉄骨造の扱いがプルーヴェらしく感じる。
続いて、アルヴァロ・シザ(Alvaro Siza)設計の工場施設(Factory Building)+ 連絡橋。
連絡橋は通常は大型車両が通るために高い位置にあるけれど、雨が降るなど必要に応じて屋根が降りてきて濡れないようになっている。ヴィトラならではの余裕と遊び心が感じられる。昇降する機能がどれだけ必要かどうかは、あまり詮索しないでおいた方がよさそう。
次は連絡橋の向こう側に見えているザハ・ハディド(Zaha Hadid)設計のファイアーステーション。消防署として設計された建築だけれど、今はショールームのように使われている。
建築のみならず家具や装飾品もザハデザインで統一されている。インテリアデザインを除けば、これがザハ・ハディドのデビュー作となる。
続いて、SANAA設計のロジスティックセンター(Logistics Center)。
直径160mの少し崩れた円型建築で、カーテンのように全面波打つアクリルガラスで覆われる。
完全な円ではなく、手書きしたような円で表現するところはSANAAらしさかなと思うが、外観からはあまり感じられない。内部は機能を合理的に配置したもの。
物流センターというヴォリュームを、余計な要素を排除した極めてシンプルな外観で表現すると存在感は大きい。アクリルガラスの波打つ光沢の美しさがシンプルに統一された中で浮き立っていた。
ロジスティックセンターからシザの連絡橋を通り、安藤忠雄設計のカンファレンスパヴィリオン(Conference Pavilion)へ。たまたまこの日は、会議が行われていて、一部の内部撮影が難しかったのが残念。建築の高さを意図的に低く抑えているところが、ヴィトラキャンパス内の他の建築との差別化が図れているのは感じる。
見学ツアーは、このセミナーハウスで終了。
ツアーガイドの説明は、建築関係者でなくとも分かりやすくまとめられ、参加をオススメできる。
最後にガイドから、ヴィトラハウスの見学ポイントを聞いて解散。
早速ヘルツォーク&ド・ムロン(Herzog & de Meuron)設計のヴィトラハウス(VitraHaus)へ。
ヴィトラ社の家具を展示するショールームとしての機能を果たすこと建築は、家型のヴォリュームを重ねた形状で、内部もその形を実感できるところが素晴らしい。かわいらしい受付で案内を貰って見学すると、内部はこれでもかと言わんばかりにデザインファーニチャーが並ぶ。至る所にタッチパネルが設置され全ての家具の詳細を誰でも検索できるので、それぞれの家具デザインの背景なども理解できて楽しい。
ここで見てしまうと、どの家具もほしくなってしまう。もちろんショールームなので、ここで家具を購入することも可能。
ヴィトラハウスの1階にはショップがあり、デザイン雑貨をお土産にするにはぴったりかも。
最後にバックミンスター・フラー(Richard Buckminster Fuller)設計のテント型ドーム(Dome)。現在は展示空間として利用されている。
フラーのローコスト、フレキシブル、永続性、シンプルの思想が詰まった傑作。しかも美しい。
丸一日、ヴィトラキャンパスにいてもまったく飽きない。
夕方、バスでバーゼルへと戻る。
因にヴァイル・アム・ラインのバス停は、ジャスパー・モリソン(Jasper Morrison)によるデザイン。
バーゼルに戻り日が傾き始める中、折角なのでもう一カ所。
ヘルツォーク&ド・ムロン設計のメッセ・バーゼル(Messe Basel)へ。
外壁、天井、屋根といった要素を開口率の異なるアルミパネルで一体的に表現した建築。大きな吹き抜けの存在感が圧巻。とはいえ、建築規模もすこぶる大きいので吹き抜けサイズが大きいのは当然と言えば当然。一つのコンセプトで巨大な建築をまとめる難しさを感じた。
怒濤のバーゼル二日目はこうして暮れて行った。