2013.05.31 9:30
イタリア・スイス・ドイツを中心とした大凡2ヶ月のヨーロッパ建築視察の旅に出発した。訪れたい建築リストを作り、後は旅をしながらどうするか決めるいつものスタイル。リストアップした建築および場所は計300を超えたが、最終的には8カ国、約60都市、約215カ所を廻った。
何故これらの国を選んだのかと言えば、カルロ・スカルパ、ピーター・ズントー、ヘルツォーク&ド・ムーロンの3人の建築家が手がけた建築物が数多く存在すること、そしてバウハウスムーヴメントの発信源であることが主な理由であって、これらの空間や思想を直に体験する事が一つのテーマとしてあった。
特にピーター・ズントーは学生時代から、一度は生の空間に触れてみたいと心に留めていた建築家の一人であり、今回の視察は長く待ち望んでいた。
インチョン空港にてトランジットし、ローマへと向かったはずが、なぜか飛行機はなぜかローマへとは向かわず、ミラノへと降り立った。
きっとフィウミチーノ空港の状態に何らかのトラブルがあったと思われた。如何せん館内アナウンスはあれどいまいち理解できなかったのだが、ほんの数週間前にインドでのハチャメチャな旅を経験していたこともあって、あまり気にもならなかったというのが正直なところ。(弊所ブログ「002 インド建築の旅」〜「029 インド建築の旅」)
結局ミラノの空港で3時間程待機させられた後、ローマ行きの振替便が用意され、搭乗することが出来た。なぜミラノに一度降りたのかは不明のまま。
ローマには、元々夜更け到着予定だったが、それよりも3時間程遅れたことで、到着が明け方近くになり、急遽空港で少し仮眠をとり、朝一から行動することにした。
06.01 朝一番、フィウミチーノ空港からバスでローマの中心駅の一つ、テルミニ駅へ。
朝早い時間にも関わらず、通勤途中と思われるビジネスマンが極自然に売店でエスプレッソやコーヒーを引っ掛けてからオフィスへと向かって行く。片手にコーヒーカップを持っている人も多い。イタリア人は、一日5杯くらいコーヒーやエスプレッソを飲むのが極普段の日常だという。見ていて明らかにそれが生活の一部となっていることがよくわかる。
早速まねごとのように、エスプレッソとラテをクリームクロワッサンと共に注文。この時はなんだかぎこちなく感じられたが、その後3週間弱イタリアを廻る中で、不思議とこの感じが当たり前となっていった。
宿にチェックインしてから、ローマの街へと繰り出した。
ローマと言えばコロッセオ(Colosseum)。
修復されているとはいえ、ディテールを見ると非常に優れた技術に裏付けられた施工がなされていることが理解できる。また現在多くの遺産や歴史的建造物が抱えている、「維持保存」と「一般公開」という相反する目的の共存という一つの課題において、うまく考えられていて、今後の設計活動において参考にしたい。この分野では、歴史的価値の大小を問わず、めっぽう欧州が進んでいて、ヒントとなる事例を探すのにあまり労を要しないほど、皆の思考に通底していると感じる。
コロッセオから隣接するフォロ・ロマーノ(Foro Romano)とパラティーノの丘(Palatine Hill)へ。
この時は、アート展を催していたため、遺跡の中にアート作品がいくつも設置されていた。この展示手法は最近よく見られる様になったが、とても有効だと思っている。閲覧者と作品との距離感の在り方にそれぞれの場所で特徴が垣間見られる。雨が降る中の散策になったが、雨が幻想的な雰囲気を作り出すのに一役買っていた。